ロボットアーム入門

~ ハードウェアインテグレーション ~

大阪大学 中島優作


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スライドの内容

ロボットってどうやって設置するの? 手先はどうやって付けるの?
あまり学ぶ機会がないハードウェアの当たり前をまとめました

1ロボットの設置
2エンドエフェクタの取付
3PCとの接続(LAN)
4グリッパの配線・電源
5外部機器との通信(RS485)
6非常停止スイッチ
7治具の作成
8他の機器との接続
9便利なデバイス

■ 機械 ■ 電気 ■ 通信 ■ デバイス

ロボットの設置

定盤上のロボット
定盤
アルミフレーム上のロボット
アルミフレーム

ロボットアームはアルミフレームか定盤に固定するのがほとんど

  • 定盤:重くて硬い。ネジ穴が格子状に並び、どこにでも固定できる
  • アルミフレーム:軽くて組み替えやすい。ただしたわみに注意

アルミフレームの強度計算 ↓

アルミフレームの耐荷重

フレームがたわむと、ロボットの動作精度が落ちる

  • 重いロボット・力のかかる作業は計算してからフレームを選ぶ
  • 長く使うなら、剛性に余裕のある設計が安心

エンドエフェクタの取付

ISOフランジ規格

手先のフランジはISO 9409-1 / JIS B 8436 で寸法が決まっている

  • 3〜5 kg 可搬のロボットなら番号4(φ50 mm)が一般的
  • 規格に合わせて作れば、ハンドやツールを付け替えられる

規格の詳細(JIS B 8436)

ロボットアームとPCの接続

PCの LAN ポート(または USB-LAN 変換)とロボットを直結し、IP アドレスを設定する

IPアドレスの仕組み ↓

IPアドレスのセグメント

IPアドレス=機器の番号、サブネットマスク=ネットワーク部とホスト部の境目
ネットワーク部が同じ機器どうしが直接通信できる

グリッパの接続方法

グリッパ

メーカー対応品以外は、通信などを自分で実装する必要がある

  • 必要なもの:電源と通信
  • このあと:配線 → 電源の選び方 → 通信(RS485)

グリッパの配線

Robotiq Hand-E

Robotiq Hand-E とユニバーサルロボットの接続例(ケーブル1本)

  • 対応メーカー同士:ケーブル1本で接続できることが多い
  • 非対応:電源と通信を個別に用意する

推奨電源 ↓ 通信方式 →

電源の選定(誘導性負荷)

誘導性負荷対応電源
○ 誘導性負荷対応
(スイッチング電源など)
誘導性負荷非対応電源
× 非対応
(安価なACアダプタ)

モーターを動かすなら誘導性負荷に対応した電源を選ぶ

  • 非対応の電源を使うと故障の原因になる

ACアダプタが故障する理由 ↓

誘導性負荷と電源

電源 (ACアダプタ) OFF モーター=コイル 逆起電力が電源へ逆流 時間 電圧 OFF の瞬間 大きな電圧の跳ね上がり
  • モーターはコイルなので誘導性負荷。電源を OFF にした瞬間などに逆起電力が発生する
  • 安価なACアダプタはこれを逃がす保護回路がない → 故障の原因に

外部機器との通信

RS485コネクタ

グリッパや外部機器との通信では RS485 がよく使われる

  • 多くの産業用ロボット・コンポーネントで採用

RS485 の基礎 ↓

データ通信の基本

デジタル信号図
  • 電気信号の High(1)/ Low(0)で 1 ビットずつ送る
  • 文字は ASCII コードの表でビット列に変換

'A' = 65 = 0100 0001

RS485とは

RS232:1本の線と GND の電位差で送る → ノイズに弱い
RS485:2本の線の差(差動信号)で送る → ノイズに強く、今はこちらが主流

USB-RS485 変換アダプタの選定 ↓

USB-RS485変換アダプタ

USB-RS485変換アダプタ

PC とは USB-RS485 変換アダプタでつなぐことが多い

  • FTDI 社のチップを使ったものがおすすめ(例:これ)

非常停止スイッチの増設

非常停止は b接点(押すと回路が切れる)を2系統持つ 2b接点が大抵のロボットで使われる

BOX入りスイッチ

非常停止スイッチBOX

スイッチ単体も売っているが、BOX入りが便利

  • そのまま机に置ける・配線しやすい
  • 買うときは接点構成(2b)を確認

治具の作成

毎回同じ位置に取りに行ける ワーク 治具 作業台

治具=ワークを決まった位置・姿勢に固定する道具

  • ロボットは教えた位置にしか行けない → 置き場所を治具で決める
  • 設計(CAD)→ 3Dプリンタで作る、が手軽

治具の設計

Fusion360

Fusion 360 は CAD 初心者にも使いやすい

治具の製作

Bambu Lab P2S

3Dプリンタで作れる

  • 何度も作り直すので印刷速度が重要
  • 2026年時点では Bambu Lab P2S がおすすめ

ロボットと他の機器の接続方法

ロボット統合システム

ロボット単体ではなく、色々な装置をつないで使う

  • ロボットコントローラの IO
  • パソコン(USB など)
  • PLC(産業用の通信)

ロボットコントローラのIO

URロボットIO
  • ロボットには基本的に IO(入力/出力)が付いている
  • ON/OFF の信号で外部のモーターなどを動かす・センサからアナログ電圧を受け取る

パソコン接続(USBなど)

PC ロボット カメラ グリッパ マイコン LAN USB USB-RS485 USB

PC からロボットを動かすなら、PC にまとめてつなぐのが手軽

  • センサやグリッパを USB で追加
  • プログラムも PC 上でまとめて書ける

PLC接続

PLC ロボット コンベア センサ 他の装置 FA用の通信

高い信頼性が要る産業用途では PLC + FA 用の通信

  • 止まらない・壊れにくいが、作るのは大変
  • 研究などのプロトタイピングは USB(PC)で十分なことが多い

便利なデバイス

M5Stack
M5Stack
センサを足せるマイコン
Intel RealSense
RealSense
3Dカメラ
Dynamixel
Dynamixel
研究用のモーター

それぞれ ↓

M5Stack

M5Stack

Arduino のプログラムを書けるマイコン

  • はんだ付け不要で色々なセンサを追加できる

RealSense

Intel RealSense

安価で高性能な Intel 製の 3Dカメラ

  • ロボットの周りの環境を認識するのに使える

Dynamixel

Dynamixelモータ

ロボットアームの関節などに使われるモーター

  • 位置制御だけでなく電流制御(トルク制御)もできる → 研究で重宝